mimitakoyaki

高地戦のmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

高地戦(2011年製作の映画)
4.0
久しぶりに戦争映画を見たのですが、ほんとに、何と戦ってるの?何のために?って戦争の惨たらしさや不条理さを感じました。

1950年に勃発した朝鮮戦争。
停戦間近かと言われてからの2年半で50万人が戦死したと言われています。

「プライベートライアン」「プラトーン」「1917」「ハクソーリッジ」「野火」など、凄まじい肉弾戦を描いた作品は今までにも見てきましたが、この作品もかなりのもので、戦闘シーンの激しさ、生々しさは欧米の戦争大作映画に引けを取らないクオリティです。(メイキングで本物の銃を使って練習してたけど、それええのんか⁈)
韓国映画は10年以上前にもすでにこんなにハイレベルだったのかと驚かされました。

すぐそばに敵が現れいつ襲われるかわからない恐怖、さっきまでふざけ合ったりしてた兵士が目の前で一瞬にして殺されたり、空爆や掃討作戦で兵士が次々に虫ケラのように殺されて死体の山になったりと、地上戦の恐ろしさを見せつけてきます。

しかし、最前線で拠点の取り合いを繰り返すうちに、壕の中に敵宛の手紙や酒、タバコなどを互いにやりとりするようになり、そこには顔も名前も知らないただの憎き敵ではなく、血の通った人間同士、同じ言語や歴史を持つ民族同士の心の通い合いがあり、ただ陣営が分かれてるだけで戦争をさせられてるけど、戦争さえなければ憎み合う事もなく友人にだってなれる、そんなことも描かれていて、戦争の無意味さや罪深さを強く感じさせられました。

しかも朝鮮戦争の場合、日本が戦争に負けてようやく植民地支配が終わるのというに、以降はアメリカとソ連が朝鮮半島を分け合って統治するとか、勝手にすなよ!ってなるんですけど、東西冷戦の代理戦争で国土は荒廃するし、多くの戦死者を出すしで、ほんとに戦争はクソだなとあらためて思いました。

地獄の12時間、せめてあのまま何もなく終わっていればと思わずにはおれないし、連合軍の攻撃もあまりにも雑すぎるし、あの12時間は一体何だったのか、敵はもはや北朝鮮ではなく、ダラダラと戦争をやめられない会議室で椅子に座ってるだけの上層部やんけ!って憤りを感じました。

10年ちょっと前の作品なので、キャストがみんな若い!
「怪物」で凄まじい怪演を見せたシンハギュン、若い!
イジェフンも引き締まったバックショットも披露するスタイルの良さ、若い!
チョジヌン、若い!でも体型はメタボ!今の方がカッコいい。
リュスンウォン、顔のただれメイクもあって若さは感じませんでしたが、さすがの存在感です。
コスはこの作品が初めてでしたが、回想シーンのメガネかけた気弱な感じが最高♡でした。

あとは「愛の不時着」のリジョンヒョクのお父さんとか、ワニ中隊の髭のおじさん兵士とか、錯乱して仲間に銃を向けるおじさんとか、いろんな作品で見かける素敵な脇役おじさんもいて嬉しかったです。

戦争映画は重くて見るのがしんどいのですが、犬死させられた兵士を英霊として祭り上げることで戦争責任を薄めたり、あの戦争で良い事もあったなどと美化や正当化をしたり、特定の国を敵視してデマやヘイトを撒き散らしたりするヤカラがネット中に湧いてきたりするので、やっぱりこういう戦争の愚かさや惨たらしさを伝える作品はずっとずっと作られ続け、見続けていかないといけないんだと思います。

4
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