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月の輝く夜にのkuuのレビュー・感想・評価

月の輝く夜に(1987年製作の映画)
3.7
『月の輝く夜に』
原題Moonstruck.
製作年1987年。上映時間102分。

1人の未亡人と、彼女に求愛する2人の兄弟を描いたアメリカン・ロマコメ。

製作はパトリック・パーマー、監督は製作も担当しているノーマン・ジュイソン、脚本はジョン・パトリック・シャンレイ(アカデミー賞脚本賞)、撮影はデイヴィッド・ワトキン、音楽はディック・ハイマンが担当。
出演はシェール(アカデミー賞主演女優 ポップスの女神なんて云われる彼女。プライベートじゃ失読症を公言してるけどセリフ覚えんの大変やったやろなぁ)、ニコラス・ケイジ(まだ、髪の毛ご残念になる前、チョイはじまってる。
実年齢はニコラス・ケイジ、シェールより18歳年下です。)、オリンピア・デュカキス(アカデミー賞助演女優賞)ほか。

ロレッタ(シェール)は未亡人。
ちょっとヤクザな幼なじみ(D・アイエロ)のプロポーズを受けるが、彼が母ちゃんの危篤で故郷シシリーへ帰る間に、その弟ロニー(N・ケイジ)と出来てしまう。
そのうち二人、本気になっていって胸をかきむしる訳だが。。。
ロニーのアパートには、ヴェルディのポスターや、ボエームのポスターが飾られていて、この辺もオペラファン必見ってほどでも無いけど。。。
余談が過ぎますが今作品はこの映画と、オペラ『ラ・ボエーム』はロジカルには関係はないと思いとは思います。
せや、雑で申し訳ないですが、ヴェルディやワーグナーのオペラは政治的・芸術的なのに対して、プッチーニのオペラは大衆的なメロドラマが主流かと思います。 
作中、歌劇場の看板が『ラ・ボエーム』に架け替えられる冒頭のシーンで、深読みさせるこの映画が本作品かなぁと。
多分伏線なんかな。
『ラ・ボエーム』を知っていると、このシーンだけでキュンです。
そして、オペラの帰りにニコラス・ケージがシェールをベッドへ誘うシーンも、『ラ・ボエーム』のアリア『冷たい手を』を偲ぶ作りとなってんのかなぁと。
また、映画の音楽も『ラ・ボエーム』をアレンジして使用してます。

ニューヨークに住むイタリア系アメリカ人の人間模を描く恋愛コメディで、監督は幅広いジャンルで卓越したセンスを見せる名匠ノーマン・ジュイソン。
ロレッタは、7年前に旦那を事故で亡くし、 37歳になったいまも独身を通している。
そんなある日っ、幼なじみのジョニーからのプロポーズぅ。
ロレッタは快く受け入れたが――。
から~の。。。

冒頭のジョニーからロレッタへのプロポーズ。
二人はそれまで交際しとったわけではないけど、突然結婚の契りを交わすという風変わりな展開。
その突然のプロポーズを受け入れるロレックの方も実にあっさりとしたモンで、これがイタリア系アメリカ人のありふれた日常なのだろうかと、いきなり彼らの価値観に驚かされる。
実際はそんなことはないやろけど。
結婚式を間近に控えた頃、ジョニーは危篤の母ちゃんに結婚を報告すべく故郷のシシリーへと帰郷。
そんな折、ロレッタはジョニーの頼みを受けて、ニコラス・ケイジ扮する彼の弟ロニーのもとに出向き、式に出席してほしいと伝えるが、ロニーと出会ったロレッタは、あろうことか婚約者の弟と恋に落ちてしまう。
本作品に登場するイタリア系アメリカ人は、皆、恋の本能に従順やなぁ。
このあたりのおおらかな情熱の描き方は、ハリウッド産のロマコメとは明らかに一線を画しているかな。
彼らの貞操観念の揺らぎは、軽快かつロマンティックに描かれてたし、その顛末はむしろ生命への賛歌にあふれ力強い😊。
原題の『Moonstruck (月の輝く夜に)』の意は、
満月の光が人の心を惑わせるちゅうヨーロッパに古くからある云い伝えです。
婚約者がありながらロニーに身を任せるロレッタ。
37歳の娘を持つ年になっても浮気に精を出す父ちゃんコズモ。
孤独な母ちゃんローズは、レストラン で知り合った大学教授に誘われ、ときめきを募らせる。
満月の夜に繰り広げられる人間の性の交錯に、幸せを手にした者があれば、失意に肩を落とす者もいる。
せや、本作品の結末には不思議と暗さがないんだなぁ。
そんな、突き抜けた陽気さが最大の魅力やし善き映画と感じる要因かな。

作中、もう二度度会わないというロレッタに、ロニーが最後にもう一度だけ会ってと云ってから~のセリフが
"I love two things. I love you, and I love the opera. Now, if I could have the two things I love together for one night, I would be satisfied to give up the rest of my life."
云えないなあこんなこと。

カメオにマーティンスコセッシの母ちゃん、キャサリンスコセッシがパン屋の客として出演してる。
ウォーリーを探せより難しい。
なぜなら、彼女の容姿はあまり知られてない。
でも息子の映画のいくつかでカメオを出演してるし、スコセッシファンなら問題ないかな。
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