叡福寺清子

みんなで一緒に暮らしたらの叡福寺清子のレビュー・感想・評価

みんなで一緒に暮らしたら(2011年製作の映画)
3.5
加齢ってのは一応にしょっぱいことが多いんですがね,経験値が貯まる(経験内容の濃淡と質はともかく)って点は良き事だと思います.おそらく20年前だと本作はスルーか視聴しても今と違った感想になると思います.こんばんわ,もうすぐ初老の三遊亭呼延灼です.
何十年もの歳月,友情を育んできた5人の男女.それぞれに問題を抱えつつ,そして時には小さなさざ波が起きるけど,日常をそれなりに過ごしている5人の男女.
老人の問題といえば一にも二にも健康.一人は痴呆がち,一人は癌末期,一人は発作で倒れると,15年後の私あるあるとして身につまされる思いでした.邦画だとこの辺りの話題で留めおきますが,恋の国おフランスは違いますね.老人と性を真っ向から取り上げます.プリプリ怒ってる旦那を宥めるためにやおら服を脱ぎだす嫁(まさに『大丈夫?おっぱい揉む?』!!),売春婦の所に足繁く通う寡夫,そんな老人たちですら「老人にだって性欲あるのに表に出しにくい」とぼやく始末.いやいや,下手すりゃ今の日本の若者よか性生活謳歌してると思いますよ,あたしゃ.
でなんやかんやあって共同生活を始める5人組.トラブルはあっても日々是好日とはまさにこの事.自宅にプール作って孫呼んで「楽しいけど疲れた.二度と呼ばない」とぼやくけど,来月にはまた招く事を私たちは知ってるわけです.素晴らしきかな老後人生.
ただ一つだけ引っかかったのは,5人が誰も金に困っていない事.本人達はもちろん,無心しにくる子供や孫も登場しない.そりゃ日々是好日になるわな.
老人問題をテーマにした作品としては「わたしは、ダニエル・ブレイク」により共感する次第でありました.
あと,ジェーン・フォンダがとーちゃんクリソツなのもツボでした.