演劇人なら誰でも一度はこの人の道を通る、劇作家・演出家にして青年団主宰の平田オリザさんに密着したドキュメンタリー。時期は2008年くらい、か。
「冒険王」の稽古で発話してる役者の顔ばかりアップして映すのやめてほしいな……と思いながら見ていた。受け手の反応とか表情も気になるのに。切り取らないで欲しい。
と感じていたら、「火宅か修羅か」の稽古で改善されていたような。同時多発会話がよく捉えられるアングルを探ろうとしていたり、演出するオリザさんの表情や手元を映したりで興味深い。
採用面接のくだりも楽しく拝見した。給与額やキャリアを積んだ先にどんな成長が見込めるか、もきっちり伝えるオリザさん。出金伝票や領収書を手にして経理ソフトに打ち込んでいく姿も生々しかった。
「火宅か修羅か」ツアー公演で、見知った劇団員のキャストが美術セットづくりしてるのも新鮮だった。亡き志賀廣太郎さんが還暦を祝ってもらうお姿も。清貧だわ、と勝手にイメージしていた青年団の活動状況が伝わってきた。
ただ3時間は長い。「2」もあるわけだし、稽古と本編を照らし合わせるくだりとかもっと削れるでしょう。という意味で、星は平均値を。