コズモ

演劇1のコズモのレビュー・感想・評価

演劇1(2012年製作の映画)
4.3
青年団を率いる平田オリザ。同時多発会話やリアルな会話で数年前、演劇界に新風を巻き起こしたのは間違いない。チェルフィッチュやサンプル、五反田団などの新興にやや影が薄くなってきた感はあるが、下手な日本映画を観るよりよっぽど面白く、本質を突く作品を作ってきている。本作はこの5年くらいの作劇を追いながら、「演技とは」に焦点をあてつつ、次第に視点が「オリザとは」となっていくのが面白い。演出指示は精緻であり、たとえば「ソファーを10cmいや7~8cm手前」その差2cmがリアルの差なのかというように、オリザの設計図は具体的だ。
「オリザとは」という視点は化けの皮が剥がれないオリザに、観るものはヤキモキすることとなる。
それは劇中「ペルソナ(仮面)の総体が、人格である」とオリザが説く姿を観ることにより解消される。
ひとはみな演じていて、本当の自分などない。演じているすべてがその人格なのだと。この映画で、オリザは徹底して演じ続けている。そのことを発見すること楽しみのためにこの映画はある。
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