『広大な大地で慈悲と哀れみとで紡がれる罪と罰』
しっとりじっくり
ファン大熱狂!みたいな
派手なところは微塵もないけれど
それだけに見応えある
本当にいい作品でした
沁みましたね
思うに最近のアメリカ西部劇は
人を人と思わない先住民への
暴虐な行為の数々が
かえって報復を招くという
負の歴史というべき悪循環を
自らの罪深い感覚も踏まえながら
冷静にとらえて見つめ直すという
作品が多い気がします
で、お話はといえば
いい意味で極めて単純
任務とはいえ先住民を数え切れないほど
その手にかけたクリスチャン・ベイル
扮する軍人のジョーが
その先住民たるイエローホークと
呼ばれる、これまたアメリカ人を
殺しまくった伝説的な首長を
生まれ故郷のモンタナに送り届けるための
護衛の任を任されるという筋立て
劇中で向かうべく
たったひとつの護衛任務の旅を
観てるみんなも一緒になって
体験しつつ過ごします
この「呉越同舟」感が心地いい♪
ただ、"旅"とはいっても
そこは多難の連続
映像的に緩やかで牧歌的な風景が
流れているかと思いきや
突如先住民の襲撃で
先程までの風景が打って変わって
壮絶な殺戮し合いの現場と化します!
その後ももちろん旅は
続いていくのだけど
一度そんなシーンを
見せられたもんだから
その後の牧歌的なシーンが
まぁ、まるで信用できない(^^)
牧歌的なのにどうにも
「何か起こるんじゃないか!?」と
眉潜めて力込めて
悠々と馬が歩いてるシーンを見続けて
ぐったり疲れちゃったりします
でもその緊張感がいいんですわなぁ
旅の仲間は一筋縄ではいかない
面々が次から次へと入れ替わり
その一時だけでも
この旅の途方も無い困難さを
実感させてくれます
まあ、数々の逸話が挿入され
その都度心を乱されていく主人公を
終始抑えた感じでさばさばと演じていく
ベイルはもちろん凄いのだけど
やはり讃えなきゃならないのは
共演たるロザムンド・パイクの凄さ!
先日試写会ながら
実在の伝説的な記者の過酷なまでの
人生を鬼気迫る気迫で演じるのを観た
パイクでしたが
この作品では一転して
人生の悲嘆にくれる哀れな女性を
清楚な高貴さと相まって
演じ切っちゃってるんだから
もう脱帽しかないです
この幅広さは、もはや本物ですね
今回は特に美しかったー😍
小生の中で個人的に
「パイク時代到来中」です(^^)
アメリカが負ってきた罪と罰を
静かな視点ながらも
ブレることなく描きつつ
血の通った人間模様を
二人の名優が静かに演じ切る
新世代の西部劇ともいうべき
素晴らしい2時間でした
もはやクリント・イーストウッドか
ロバート・レッドフォードを彷彿とさせる
クリスチャン・ベイル渾身の
映画史に残したいほどのスンバラシイ
ラストシーンはほんま必見やと思います
二人のいろんな感情がないまぜになる
切ないシーンにつと涙が溢れちゃいます
ぜひ劇場の大スクリーンでこそ
観ていただきたい映画ですね
(って、ワシ誰やねん)
[19:05]スクリーン②