主人公はセックス中毒だけど、それにについての映画ではない。
どうしてブランドンはセックス中毒なのか。妹であるはずのシシーとの距離感がなぜ、あんなにも近いのか。なぜあれ程シシーに対して怒るのか。
ほとんど説明はないが、会話や所作から垣間見えるバックグラウンド。一つのカットを長くして、まさしく行間を読むように観る側にブランドンの感情を考えさせる演出。上手いなー。
捨て鉢な行動(この作品ではセックス)は自傷行為。自傷はリストカットの様に物理的な行動だけじゃないんだな。意外と気づかない事実にハッとする。
どうやっても癒えない傷と湧き上がる飢えの境地を見たあと、あのラストも最高である。
棚の一番上のエロティックコーナーにあるからと侮るなかれ、いい映画だ。