荊冠

バッファロー’66の荊冠のレビュー・感想・評価

バッファロー’66(1998年製作の映画)
4.0
主人公ビリーの「何か上手くいかない」感が絶妙。本当は純朴な人間なのだけど、それ故に冴えずに不利益ばかり被って、降り積もるルサンチマンが癇癪的な怒りや衝動的な言動を引き起こしてしまうような。そしてそんな「弱者男性」的な自分を情けなく思っているからこそ、女性に言い寄られても「ナメやがって!」というような攻撃性が先に出てしまう。そこで素直に甘えを見せることができない気持ちがよくわかる。これはギリギリで立っている男の、最後のプライドなのだ。トイレでひとり「もう生きていけない」と啜り泣くビリーの姿は、非常に「男性らし」く、胸に刺さる。
そしてそんな男に惚れてしまうレイラの気持ちも死ぬほど分かる。ビリーの子供っぽさや痛々しさは、私は母性愛という言葉は嫌いだけれど、女性には「ほっとけない」のだ。
モーテルのベッドのシーン、ビリーが緊張して隅っこに斜めに横たわるのが本当に良い。
クリスティーナ・リッチが可愛すぎるよ〜。
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