ラピュタん

バッファロー’66のラピュタんのレビュー・感想・評価

バッファロー’66(1998年製作の映画)
4.4
落ち着きなき傑作
色彩と外しの美学
孤独なふたり
永遠のふたり

こうなるはずこうあるべきだそんなもろもろをことどとくハズしてきてはぐいぐいと引き込む‼️
殺伐としているのに思わず吹き出しそうにもなった
ギャロはいつもイライラしていて同じ単語を2〜4回繰り返す繰り返しはイラつきの度合いかその口調にいつしかハマるのだがクリスティーナはこの上ない可愛さ

バッファロー🦬版 美女と野獣
あるいは
アーティスティックブラックコメディ

母さんはぶっ飛びで
父さんはすぐキレる
友達には障害があり
ギョロ目のギャロは  ……

みんな病んでいるのだ
道端の水溜りのようだ

一緒に育った愛犬の死
豊かなはずの米国の闇
因果なのか連鎖なのか

寒空の下、刑務所から身ひとつで出てくる主人公のオープニング
乗り込むバス🚌は、青い鳥とある
バスを下にして広がるのは曇天だ…
怒鳴りつけた相手(クリスティーナ・リッチ)から電話するために25セントを借りる…
電話先は、母親だ…
ひょっとして優しい?
と思った矢先に、罵倒しあう…
電話を切ったあと、お礼を言うどころか…

全てのシーンが、美しくないものを写しているのにも関わらず、ポスターのように映像は美しい

ボーリング場でタップを踊るクリスティーナの長回し…
自動映写機の前でポーズをとる2人の長回し…

嗚呼ゝ疾走するは乾いた映像美
何という冷えた美しさドライさ
流した涙も一瞬で乾きそうな程

例えばすべてを失ったと絶望した時に
自分には何もないと悲嘆に暮れる時に
新鮮な風を、そっと送ってくれる癒し
にもなりうる芸術作品なのではないか

酒に逃げるのはよしなよ
オレの作品を観てくれ…
命を削って作った美酒さ
そう語りかけるかのよう


学生時代だったかかなり話題を集めていて満員の映画館で息苦しくなりながら観賞した作品だがいま見直しても新しい発見があって愉しいそうだよ愉しいことは間違いないのさこの作品には酒もタバコも出てこないのにスモーキーなウィスキー🥃の芳醇さを想うひとときに毎回なりそうでこういう名品はいつまでも新鮮さを失わないでエイジングを愉しめる作品🥃✨ 

です
ラピュタん

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