小さじ

バッファロー’66の小さじのレビュー・感想・評価

バッファロー’66(1998年製作の映画)
4.8
開始1分も経たないうちに映画館で観たかったと強く思った。芸術性が強くて他とは違うクセになる感じがすごく好き。実家で誰か視点で他3人を見るところとか、回想の入り方、ベッドの定点…。ミニシアターで上映してくれないかなぁ。
主人公のことは好きになれないどころかむしろ嫌いなんだけど、映画としてはめちゃくちゃ好きだしいろいろな人に勧めたくなる。

癇癪持ちのモラハラ男、トイレ我慢する仕草とか絶妙にダサくてどことなく共感性羞恥が湧く。社交経験の少なさから来る小物感なのかな。この親にしてこの子ありな癇癪父親と、一見過保護に見せかけて自分が本当に興味あるものしか興味がない母親っていう可哀想な家庭環境ではあるものの、同情して愛を与えるレイラはお人よしというかダメ男がもともと好きなのかと思った。愛に満たされたとしてモラっぷりが無くなるかと問われると難しくない?きつい言い回しされても従う所謂良妻賢母タイプじゃないとすぐ破局しそう。

二人でお風呂入ってから添い寝して、それからのビリーは憑き物が落ちたような顔になっていて、物理的な温もりで少しずつ絆されていったのかと思った。お別れのキスかハグの部分でも弱い部分を曝け出していて、スコット・ウッズは殺さないんだろうってオチまでのレールが引かれた感じ(これに関しては観始めから想像は容易につく)。
愛は全てを変えるんだなとわかるけど、この映画を観て恋がしたくなる、愛しい人に会いたくなるかと聞かれれば……ならないかなぁ。

日本版キャッチコピーださすぎ。恋愛映画じゃなくてビリーの成長物語でいいじゃん。
小さじ

小さじ