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バッファロー’66のKANAのレビュー・感想・評価

バッファロー’66(1998年製作の映画)
3.8

90sのミニシアターブーム以来、久々に。

まさに「弱い犬ほどよく吠える」を体現した感じの、ヴィンセント・ギャロ演じるビリー。
嘘、犯罪紛い、モラハラ…最初はこの男に嫌気しか差さない。

だけど、彼のバックグラウンドや極度にシャイだったり弱気だったりするところが見えてくるにつれて母性本能がムクムクと湧いてくるのは確か。
レイラ(クリスティーナ・リッチ)の胸に甘えるショット好き。

クリスティーナの童顔や緩い体型は間違いなく本作の大切な要素。
男臭いテイストにスイートなまろ味を加えてて。
ブルーのアイシャドウやムチムチ太ももにミニドレスも、彼女だから嫌味なく映えて可愛い。

ラスト、"恨み"からの潔いスイッチは心底晴れやかな気持ちになる。
熱々ココアと、ハートのクッキーを抱えて、
一秒でも早く君の待つ場所へ。(『靴ひも』)

ギャロのこだわりが伺えるのが、

小津安二郎の影響を受けた固定カメラ中心の整然とした構図
グレーを基調とした、わびさびを感じさせる色調
最高に酔えるプログレ

そしてそういうアーティスティックなベースの上で、

トイレ行きたくてたまらないくだりとか
バスタブでの体育座りとか
ベッドでの"気をつけ"で横たわる姿勢とか
親友グーンのだらしないお腹のロングテイクとか…

ギャグと紙一重のシュールなハズシを重ねるところも本作の味わいになってると改めて認識。

流行ったポスター効果もあってオシャレというイメージが先行するけど、男性ならギャロの体現した等身大の男心をより実感できるのかなぁと想像できる。
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