鎌谷ミキ

千年女優の鎌谷ミキのレビュー・感想・評価

千年女優(2001年製作の映画)
4.3
【あなたにもう一度会いたい】

[簡単あらすじ]ネットより
映像製作会社社長・立花源也は、かつて一世を風靡した大女優・藤原千代子の半生を振り返るドキュメンタリー制作を依頼された。千代子の大ファンだった立花は若いカメラマン井田を引き連れ、30年前に人気絶頂の中、忽然と姿を消し、以来公の場に現われなかった千代子の屋敷へ向かった。

[レビュー]
「まだ観てないん会」待望の邦画アニメ!
しかも、今敏監督作品!!待ってました😆

私は『パーフェクトブルー』を観てから、本作を観たのですが、かなりよかったです😄作風としての繋がりを感じました。

本作は前作のデビュー作のエログロは鳴りを潜め、とてもライトな雰囲気に。あくまで映画の中で無惨に亡くなってる姿ぐらいで、出血シーンもほぼありません(ま、人間ドラマだと当然なんですけどね)

今監督の一貫したテーマは"現実と虚像"のちに『パプリカ』も作られますが、まさにその通りの作品です。この、どちらも"本当に"魅せるのが今監督は上手いと感じます。
立花と井田が見ている(撮っている)世界が、千代子が映画で演じていたシーンと現実の回想で。千代子が"そこにいる"ように観客に魅せるので、現実と虚像が曖昧となります。それが非常に面白い作りで、立花が役者と気持ちが重なり演じたりすると、カオスな世界観となるわけです。虚像なのに、千代子と同じように立花は生き生きとしているわけですね。

千代子が女優として成功して順風満帆なようにも見えますが、会いたい人に会えないのはとても辛いことだと思いますね。

着地点が予想外すぎて「ポカーン」だったんですが『千年女優』というタイトル通りに"生きた"ということで、なかなか面白いラストとなりました。

[余談]
ここで私的に今敏監督作品を見るタイミングを。あくまで参考程度に。

『パーフェクトブルー』…サイコホラーでも観てみようかなという気分の時。ちょっと難しくても"見応えあり"な作品を観たい時。それでもラストは気分よく終わる作品が好きな方向け。

『千年女優』…今監督の"現実と虚像"をシンプルに体感したい時。いろんな人物の気持ちになりたい=女優を疑似体験したい時。

『東京ゴッドファーザーズ』…勿論、クリスマス!サスペンスタッチの作品を観たい時。ちょっとほっこりしたい時。「ろくでなし」好きな人(笑)

『パプリカ』…今監督の"現実と虚像"究極の表現を観たい時。個性強い絵柄でも大丈夫な方。

今監督コンプリート✨私は『東京ゴッドファーザーズ』次点で本作という採点にしています。

改めまして、鑑賞機会を与えてくださってありがとうございます🥳
鎌谷ミキ

鎌谷ミキ