喜連川風連

千年女優の喜連川風連のレビュー・感想・評価

千年女優(2001年製作の映画)
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とうとう見てしまった。。。この作品をもって今敏作品コンプリート。二度と新作が見られることはない。

本作、あらゆる構造が入れ子構造になっている。ある男に憧れ続ける女優に憧れる芸能会社の社長。映画の中の映画がありそれを観る我々観客。

憧れの人を追い続ける大女優千代子は活き活きと画面を駆け抜ける。憧れの存在を持つからこそ、人の憧れであり続けられるのだ。

もはや最後は、憧れの人に会わなくてもいいとのたまう。

憧れの人を持ち続けてる自分の心が好きなのだと。

ある人が「人を好きになるっていうのはその人といる自分を好きになることだ」と言っていたことを思い出した。

世界中の神話を研究したジョーゼフキャンベルも幸福について「我を忘れて没頭すること」と言っている。

ある種、幸福な人生を駆け抜け、大往生した1人の女性の物語。

日本映画の栄枯盛衰と人生が重なっているのもまたいい。

編集技法はマッチカットの応酬。手書き枚数の多さに日本セルアニメ全盛期を感じる。

ありとあらゆる日本映画のオマージュが登場し、映画史を概観する。

柱をかませて撮影する姿に小津節。原節子のオマージュ。社長は大映の永田社長か。車輪の回転は無法松の一生。

映画フリークだった今敏さんの豊かな映像知識を追体験できる良い映画だった。。
喜連川風連

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