鹿

千年女優の鹿のネタバレレビュー・内容・結末

千年女優(2001年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

リバイバル上映。
※本編には、けっこうな地震の描写があります。


予告からは少女が千年の時を生まれ変わりながら愛する人を追い回す時空を超えたストーカーの物語だと思われたが、違いましたね(いや、そうかも)。
伝説的な女優千代子をずっと崇拝してきた男が、カメラマンを連れて取材しにくる。語られた半生を女優が演じた現場に取材の男たちがスリップするような形で表現していく。女優はその当時の姿になるので、年齢と出で立ちが違ってくる。このアニメのキャラクターデザインでは同一人物であることを観客に分からせるのは困難だろう。その問題をホクロひとつで一発解決したアイデアが素晴らしい。いまだかつて、ホクロがここまで重要な役目を果たしたアニメが他にあるだろうか!
過去の回想が負担になったのか、千代子は病気の発作を起こして倒れ、病床に伏す。付き添っているインタビュアーに対して最期の最期に千代子が放つひと言がこの物語、千代子の人生の全てを言い表している。だから自分は自分の人生を何度も何度も繰り返し反芻し、肯定して生きてこられたのだと(千代子が追い回す男のものだった鍵のペンダントが確かにその男が存在したという証拠になっているのも重要だと思うが、それも疑わしいかも)。最期のひと言は、ネタバレ中のネタバレになると思うのでここでも伏せるが……もしもし、千代子さん、それはサイコパスの発想ですよ!全てを言葉にする前に事切れたようですが、仮に全てを伝えられていたとしても、あなたを崇拝しているインタビュアーのような一般人には理解できないと思いますよ!
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