戦前と戦後を駆け抜けたある名女優が「何を抱いて」生きてきたのかを虚実入り乱れる構成で描く傑作。
今敏作品の肝って、やっぱり構成と世界観を演出する「映像だからこそ」の演出ですよね。
本作も物語自体は滅茶苦茶シンプルで、ドンデン返しだとか、観客を騙すような展開とは無縁なのだが、とにかく飽きる事が無いアニメーションと構成で心を掴んで離さない。
劇中劇、ドキュメンタリー撮影、回想。入り後構成のフィクションの中のフィクション。混じり始める虚実。女優だからこそ、そのファンだからこそ、そして本作がアニメーションだからこその自由な構成とコンテ。そんな構成に登場人物達が自覚的なのが更に面白さを加速させる。
初恋の映画…を最後の台詞でひっくり返す。
どんな自分を愛するのか。どんな自分でいたいのか。どんな自分を演じるのか。
舞台劇的演出がある映画、大好き。
