ハル

千年女優のハルのレビュー・感想・評価

千年女優(2001年製作の映画)
3.7
『パーフェクト・ブルー』にハマれたので、鬼才と言われる今敏監督の作品をFilmarks企画のリバイバル上映にて。

ドキュメンタリー作品を作るため、30年前に行方をくらました一人の女優へインタビューを試みる弱小映画製作会社の社長。
なぜ彼女は全盛期に姿を消したのか?
秘められた深き想いについて綴られる純愛物語。

既存のアニメ作品とは一味違っていて、流石の今敏監督作品、斬新な構成になっている。
社長が「藤原千代子の大ファンだから」を発端として始まった企画。
語られる言葉をただ映像として残すのではなく、インタビューをしながら過去の出演作の役柄になりきり、人生そのもの、出会った人々についてアニメーションが構築されていく。
実に不思議な世界観。
破綻的でありながらもわかりやすく、仮想と現実の狭間で話が進みゆく流れ。

一人の男性との出会いが彼女の心に残り続け、いつまでも思い続けた願い。
エンドロール間際の一言で、これまでのラブストーリーから一変「えっこれってもしかして…恋に恋い焦がれる系?」と、今までの純愛物語が一変するのも面白い。
恋愛って視点を変えたら案外こんなモノなのかもしれないね。

『パーフェクト・ブルー』に続き今作もしっかりカタルシスを味わえたので、今敏監督との相性は良いみたい。
人を選ぶ作品だと思うけれど、感情に特化したアニメ作品を見たい方は是非。
次は『東京ゴッドファーザーズ』or『パプリカ』を見たいな。
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