「14日目の月が好き。満月になれば欠けていくだけ」
鍵の君は言った。
そう、きっと千代子の人生こそが、14日目の月だったのだと思う。満月になることなく、想い人を追い続けた。だからこそ輝き続けることができたのだ。
そして、鍵の君の人生も、、。
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現代から過去へ。
現実からフィクションへ。
時空間を縫い飛びながら疾走する構成が素晴らしい。
ー いつか きっと ー
石板に刻まれた文字の悲しさ。
「あんなに好きだったのに、、
もう、顔も思い出せない、、!」
リアルとフィクションが交錯する世界で、はたして千代子は初恋の相手に巡り会えるのか?
そして、千代子はラストにとんでもない発言をして本作が終わる。
えー!そうなの?
そうは見えなかったけど。
本作のすべてを根底から台無しに、一周回って唯一無二の傑作へと変えるびっくりカミングアウトだ!
“幸せはいつだって 抱きしめた途端に
ピントがぼやけてしまうから
そうなる少し前で しっかり見続けよう
なんて できるのかなぁ?”
(Mr.Children 『少年』より)
14日目の二人に捧ぐ。
恋愛も満月も同じかな。
公開:2002年
監督:今敏(『パプリカ』『東京ゴッドファーザーズ』)
音楽:平沢進