ワンダフルデイズモーニング

色情団地妻 ダブル失神/わ・れ・め/笑い虫のワンダフルデイズモーニングのレビュー・感想・評価

5.0
頭にひびが入って倒れたけど立ち上がってみようかな〜だる〜頭痛ーいと一言でいえばそういう映画なんだろうが立ち上がる様よりひびの割れ目に興味があるのが堀禎一監督か……。
セックスシーンにおける画面の3〜4割を占めるほどの大きなボカシを見て思い出したことがある。
ひび割れたレンズを覗いてみたことがあるだろうか。
割れ目のついたレンズが写すのは割れ目に沿ってひび割れたシャシンではなく、そこが像を結ばずボカシのようになった奇妙な世界だ。

堀禎一はピンク映画をこそ「「キッッチリ」」撮る作家だが、この映画では"キッチリと"変な映画を撮ってしまった。マジなのか抜いているのかわからないラインでマジとするのが堀禎一だけど、この映画ではマジなのか遊び心なのかの絶妙な、奇妙な綱渡りを完走する。
頻出する葉月蛍の極端なクロースアップ、マメ山田と倒れた息子が並んでいるショット、夢の中のようなプロレスリング、「妹のようなものなので」という理由で恋人の浮気を納得する男、イロモノすぎる会長、事件シークエンスですよと説明するかのようで説明になってない訳わからんフォークソング、そういう遊び心なのかマジなのか?いやどれも完全に破綻してい…え?してないのか?の要素によって、リアリズムのしみだらけボロ生活映画の中に異界のわれめが出来ている。それを撮影した映画なんだから、やはり奇妙な作品で当然なのかもしれない。