わっせ

コクリコ坂からのわっせのレビュー・感想・評価

コクリコ坂から(2011年製作の映画)
4.0
いやこれはすごい作品なんじゃないか?
少なくとも、宮崎吾朗という作家をはかる上で、ひとつのマイルストーンじゃないけど、指標にはなるのではないか。
どうしてもジブリの宮崎父子は比較されがちで、今回のカルチェラタンと『千と千尋』の油屋はもちろん専門家に比べられていたし、僕も比較してしまう。
先に『千と千尋』の油屋について言及すると、油屋は無限に拡大していく奥行きを持った構造だったと思わせる何かがある。だが、カルチェラタンを含め、『コクリコ坂』に出てくる建物は、すべてその延長を持っていない。これはけっして弱点や汚点ではなく、つまり、そこに「ある」という存在感がしっかりしている。
宮崎吾朗は、目の前にあるものにたいして真摯だ。随所に見られる、建物の天井や梁、柱みたいなものをフレームとして用いるカットは、構図を狭くするだけではなく、建物の存在感を際立たせている。
ファンタジーではないだれかの人生がしっかりと描かれている。それをきちんと評価したい。
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