けーはち

タイガー・オン・ザ・ビートのけーはちのレビュー・感想・評価

3.6
「酔拳2」ラウ・カーリョン監督の珍しき現代劇刑事バディアクション。「男たちの挽歌Ⅱ」の人気絶頂のチョウ・ユンファが銃を突きつけられてションベンちびって気絶したりする、あまりに情けないクソザコ軟派刑事に。相棒は「龍の忍者」真田広之の相方を演じたコナン・リーで、彼は専らハードな肉弾戦アクションを担当させられる。

ヤクの売人をパンツ一丁で追いかけ回すなど作風は全体にドタバタコミカルなのに、悪党の裏切者の処刑シーンはダイナマイトをテープで巻きつけて手を爆砕したり、ヒロインのミスアジア美人女優ニナ・リーがガラスのテーブルに容赦なく叩きつけられ、拷問されて小麦粉で真っ白になった後水責めされたり、仕舞いにはカッと目を見開いたまま惨殺されたり、最終決戦ではチェーンソーで木造の板や柱を手当たり次第斬り倒して回るチャンバラなど、急にクレイジーな暴力性を発揮してドン引きどころか苦笑すら込み上げてチグハグだが珍奇で楽しい。憎めない迷作と言える。

格闘アクションは得手とは言えないチョウ・ユンファだが、いざって時には放り投げた銃の撃鉄を紐で引いて遠隔操作で撃ち込む奇想天外ガンアクションなど要所でカッコ良く撮られている。

また香港マフィアが安いトカレフではなく軍用のモーゼルを使っていたり、英国の軍人崩れが銃剣をつけた突撃銃を使ってきたりするあたりに香港の歴史を感じさせる。