不在

フェリーニ 大いなる嘘つきの不在のレビュー・感想・評価

4.2
美術や撮影にあれだけ拘っていたフェリーニが、映画は手段が目的を超えてはいけないと語る。
彼の映画にはあの恐ろしいまでの造り込みよりも、遥かに大きい主題があるということだ。
彼はネオレアリズモから出てきて、割と早い段階でそこから脱却するが、やはり根底にはリアリズムの血が流れていることがわかる。
戦後の崩壊したローマでは、伝えたいテーマを不明瞭にしてしまうほどの撮影手段など存在しなかったのだから。

フェリーニの映画と言えばとにかく「女性」という感じだが、それも女性の中に、ある種自分の後ろ暗い側面を鏡のように投影していて、女性について撮る時は結局は自分を映しているという事だった。

美しい美術、それすら超越するテーマ、女性の中の自分。
まさにフェリーニを表す3つの言葉だ。
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