半兵衛

黒い河の半兵衛のレビュー・感想・評価

黒い河(1944年製作の映画)
3.5
両親を事故で亡くして精神が不安定になっているヒロインをはじめ、登場人物がみなどこか不穏なのでドラマがどういう方向に行くか読めず最後まで楽しめた。不気味な豪邸や、湿った空気が伝わってくるルイジアナの沼地など舞台となる場所を上手く生かして心理的サスペンスを盛り上げているのも○。

主人公である女性を演じるマール・オベロンが精神を病んだヒロインを好演、彼女の不安定な挙動が真に迫っていたのでそのつり目も合わさって怖かった。

冒頭での船の沈没事故が掲載された新聞と主人公のアップが重なるシーンをはじめ、工夫された演出が随所に登場するのも見物。でも人が喋っているのをただ映すという映画で誰が重要なのかを説明しない演出は個人的にはやめてほしかったかも。

終盤の沼地でのやりとりがホラーっぽい、特に沼地ならではの人の死に方(『スワンプ・ウォーター』など)は何度見てもビビる。日本でああいう場所はあるのかしら。

ルイジアナということで少数民族のケイジャンが出てくるがみないい人たち(この間見た映画がおかしかったのだけど)。そんなケイジャンの風俗を結構詳細に描いているのも興味深い。
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