ギズモX

タイムコップ2のギズモXのレビュー・感想・評価

タイムコップ2(2003年製作の映画)
5.0
"歴史改変"をテーマしたジェイソンスコットリー主演のSFアクション映画。
あのヴァンダムが主演をはった『タイムコップ』の続編だが直接は繋がっておらず、独立したストーリーが展開される洋ドラ風のビデオスルー作品だ。

《前作から数十年後、悪質なタイムトラベルが横行する近未来。
時間の秩序を守る"タイムコップ"の捜査官ライアンは、未来の科学者ミラーが画策するアドルフヒトラー暗殺計画の阻止のために20世紀のナチスドイツへとタイムスリップする。任務の途中でミラーの妻を射殺してしまう事態が起きたものの、ライアンの活躍によってミラーは未来の刑務所へと送られ一安心となったその時、次々に仲間のタイムコップが消滅する事件が発生。
全ては妻を殺され復讐の鬼と化したミラーの犯行だった。
ライアンは自分の祖先がミラーに殺されるのを防ぐため、再びタイムスリップを試みる》

レンタルショップに立ち寄った際に200円で売られていたのをたまたま購入したということもあって、初鑑賞時はあまり期待しないでいたのだが、これがなかなかの品物。
スタイリッシュなSF映画が興隆してた00年代前半期の作品の例に漏れず、低予算でありながらもSF、スパイ、アクションなどの様々なジャンルを上手にまとめ上げていて、見ていて本当に面白いと思える力作だった。

まず、物語の主軸となる歴史改変の部分がとてもややこしい。
あらすじを見てもらうと分かると思うけど、過去の改変を阻止した事実が更なる改変でかき消される荒業を連続で繰り出しており、過去改変されたことで何処が事象の起点なのかが分からなくなってしまうという、タイムラインが一瞬でぐちゃぐちゃになってくカオスな描写が見事。
しかも本作、ストーリー展開が超ハイスピード!
ダラついた展開が一切なく、普通なら説明に時間を割りそうなところを目まぐるしい速さで駆け抜けていくので本当に訳が分からない!
体感的にはあの『TENET』をも上回る情報量の嵐で、初見時は素で「はい?!」って声が出て、3回ほど巻き戻しした。

しかし、"ヴィランが自分の祖先を消そうとしてるからそれを阻止しろ"とプロット自体は単純明快な作りをしており、更にほどよくアクションシーンが差し込まれるため、SF要素がストーリーラインを混乱させるなんてことにはなっていない。
そしてそのアクションの質も肉体派アクション俳優ジェイソンスコットリーによるキレのいいカンフーが炸裂となかなかの出来栄えであり、ナチスドイツ、刑務所、西部開拓時代、ナイトクラブなどなど、次から次へとロケーションが変化していくので常にワクワクさせられる。
また、話のオチも"起きたことに対してどのように向き合っていくか"という歴史改変の設定や登場人物の心情を上手く落とし込んだ結末なのでメッセージ性が強く心に残る。

カーアクションや爆発が無い映画なので派手な演出を期待していると肩透かしを食うのは間違いないが、まるでブルースリーがSF映画に出演したみたいな夢のある要素が詰まっている。
ビデオスルーの底力を見せつけられる逸品です!
これだからレンタルショップはやめられない!
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