ボブおじさん

サニー 永遠の仲間たちのボブおじさんのレビュー・感想・評価

サニー 永遠の仲間たち(2011年製作の映画)
4.8
フォローさせて頂いている方のベストムービーを見るのが好きで、なるほどと思うことが多い反面、意外な1本が含まれていることもある。
世間の評価とは別に、きっとその人にとって〝特別な映画〟なのだろうと思いながらレビューを覗くのは楽しい。
この映画は自分にとっては、まさにそんな映画。

2014年全国のイオンシネマにて〝シネパス〟という年間9,800円で、厳選された48作品を平日午前のスクリーンで見放題という映画好きにはありがたい企画があった。

この手の企画の良いところは、映画の目利きが厳選した名画を大きなスクリーンで、しかも格安で鑑賞できることだが、もう一つ完全にスルーしていた隠れた名作に出会えることもあげられる。

自分の守備範囲外の映画情報は、今よりも入ってきにくい時代であったし、仮に入っていたとしても公開当時の自分の年齢を考えると〝かつて共に青春時代を謳歌した女子高生仲良し7人組“サニー”のメンバーが、25年ぶりの再会を果たす様子を温かく描く。笑いと涙と青春の甘酸っぱさが詰まった物語に心が躍る。〟このあらすじでは確実にスルーしたであろう。

日本公開は2012年、韓国では大ヒットしていたが、日本では今ほど韓国映画が注目されてなかった時代だ。

たまたま時間が空いていたのとパスポートの気軽さから、全く期待せずに見たこの映画を結局3日続けて見に行くことになろうとは(^^)。
今でも何年かに1度、DVDで見返して号泣している(^^)。

この映画の好きな所を語り出すと延々止まらなくなってしまうのだが、一言で言えば映画のストーリーと音楽の完璧な調和に自分の青春時代が思いっきり重なってくるところだ。

音楽はそれが流れていた時代の記憶を呼び起こすスイッチとなり、一瞬にして人を過去へとタイムスリップさせる力がある。

国や社会情勢は違っても青春時代に聞いたシンディ・ローパーの「ガールズ・ジャスト・ワナ・ハヴ・ファン」や、ボニーMの「Sunny」、リチャード・サンダーソンの「Reality / 愛のファンタジー 」、Joyの「Touch by Touch」がストーリーと完全にリンクして流れると自分もその世界に没入してしまう。

キャスティングも絶妙で青春時代と25年後の彼女たちが、そのままだったり、変わっていたりでその辺りもリアルだった。

日本版リメイクも当然見に行った。映画としては悪くなかったが、描いた時代が違った為、自分としてはオリジナルには遠く及ばず。映画における音楽の果たす役割の大きさを改めて感じた。(当然年代によって全く逆の感想を持つ方もいると思う)

個人的な思い入れは別にしてもベタな話ではあるが、エンタメ映画として丁寧に作られており見応えがある。エンドロールまでしっかり見ていただきたい。


2014年劇場にて鑑賞した映画をDVDにて再視聴。レビュー100本目。

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本作は7人の女性たちの物語だが〝7人の女性(セブン・シスターズ)〟はトラブルメイカーの高校生を意味する韓国の隠語。

監督のカン・ヒョンチョルは、自らの母の昔の写真を見て、本作の着想を得たと言う。

劇中音楽として使用されるリチャード・サンダーソン「愛のファンタジー(リアリティ)」は、ソフィー・マルソー主演の映画「ラ・ブーム」(80)で有名になった曲である。

本作の舞台となる86年前後の音楽が劇中で使用されている。タック&バティがカバーするシンディ・ローパーの名曲「タイム・アフター・タイム」は84年作。