けーはち

ルーザーズのけーはちのレビュー・感想・評価

ルーザーズ(2010年製作の映画)
4.1
陰謀により捨て石にされた軍人チーム「ルーザーズ」と、謎めいた美女が織り成す復讐劇。残念ながら日本では劇場未公開だが、相当の掘り出しモノと言える痛快クライム・アクションだ。

★南米ボリビア某所で空爆目標の位置を連絡する任につくが、CIA高官マックスの陰謀で抹殺されかけた特殊部隊「ルーザーズ」。マックスに因縁を持つテロリストの美女アイーシャと手を組み、国に戻り復讐を誓う。

★キャストは意外と豪華。ルーザーズと行動を共にする美女アイーシャ役は「アバター」のゾーイ・サルダナ、リーダーのクレイ大佐役は「ウォッチメン」でコメディアンを演じたジェフリー・ディーン・モーガン。頭は良いがチャラけた通信情報担当ジェンセンは「キャプテン・アメリカ」クリス・エヴァンス。HDDの会社に侵入するため歌いながら流れるようにエレベーターに乗った後、高層階までの間に早着替えをしてOLたちに逞しい下着姿を見せつけたり、ピンチの時でも「股間を撃つなら頭を撃て」と言ったり、仲間に黒人が2人もいるのにチーム随一の面白キャラの座を獲得している。

★有名陣ばかりではなく無名の役者もイイ仕事をしている。中でも次元大介よろしく常にハットを手放さない無口な凄腕スナイパー、クーガーのカッコ良さが光っている。演者はオスカル・ハエナダ。

★マンガチックな部分もあれど冒頭からテンポ良く纏まった映像は見ていて飽きない。任務遂行と同等に子供たちを守ろうとするヒーローたる「ルーザーズ」の人情味とそれを灰燼に帰する圧倒的なマックスの権力・暴力。また佳境で明らかになる裏切り、三つ巴、派手な制裁、そしてドル札舞う爆砕!の流れは胸のすく展開。核のスイッチを巡るアクションも「考えるより身体が動いた」という感じの緊迫感のある良い芝居。変なのが、止め絵でカメラアングルをグルッと動かすバレットタイム効果をベッドシーンでなぜかバンバン使っていたところだが、長回しでヤッてるシーンを見せない爽やかな作風ってことで……

★黒幕のCIA高官マックスについては、無闇に部下を馬鹿にしたり些細なミスで人をバカスカ殺したりする不安定でマッドなキャラ。悪の権化としてはあまりにも安直すぎるのが気にかかる。伏線めいた手の傷に触れなかったのは尺の関係だろうが、こういう所も粗雑な印象を増すばかりだ。

★数多くあるアメコミ原作映画でまた特攻野郎某チームとかぶるタイプの話であったり、B級っぽい部分もままあるがB級ではない、否ちょっぴりB級な本作は不遇の良作と言っても過言ではない。