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ビガー・ザン・ライフ 黒の報酬のT0Tのレビュー・感想・評価

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2024.3.30 29-37

終盤の夫が狂って息子を殺そうとし、それを食い止めるウォーリーとの取っ組み合いのシーンが良かった。

薬の副作用で「精神病」とされる夫が典型的な家父長的振る舞いをする。非日常として語りながら、スクリーンに映る父としての振る舞いは大きく狂ってはいない。つまり、父あるいは教師が、子どもをあの夫のようにして教育する場面は、狂っているが、全く起こり得ない場面ではない。というより、我々はこの映画に見る狂った振る舞いを、家父長的な「日常」において度々見ているのではないだろうか。この映画を観るのなかで感じる「良識」が、日常生活における「常識」とかち合う。ここに鋭い皮肉があると思う。
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