Foufou

ジェシー・ジェームズの暗殺のFoufouのレビュー・感想・評価

3.5
ジェシー・ジェイムズのような伝説的な悪党が映画であれ小説であれ、物語作家を惹きつける。

たとえば日本なら義賊といえば鼠小僧次郎吉でしょうか、でも現代にこれを語り直す野心を抱く小説家や映画作家がいるとはちょっと思えない。鼠小僧より忠臣蔵か。ジェシー・ジェイムズは南軍の生き残りだから、これを美化する話であればアメリカの右傾化をそこに見ることもできましょうが、ここで描かれるのはブラッド・ピット演じるジェシーのこの世のものならぬ凄みだし、撮ってる監督がオーストラリア人ですからね、どういう政治的背景を担って出てきた映画なのか、日本人の私にはちょっとわかりかねるところがある。

蓮實重彦の『見るレッスン』なる新書をこのほど読みまして、そこに挙げられている映画を少しずつ観ていこうとなって、本作を手にした次第。一々のショットが絵画のように決まっていて、なるほど、ショットにこだわるとはこういうことかと勉強になりました。

驚くほど美しい映画です。
食傷するくらいに。
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