作品中でも語られるが、どうもこのジェシー・ジェームズという人物はアメリカではかなりの有名人だったらしい。この映画はそれを前提に作られているのだろう。ただ私は知らなかったので、その点で少々入りにくかった。
また〝殺るか殺られるか?〟という関係を描いている割には画面から緊張感が漂って来ないので、その点でもちょっと退屈だった。特に中盤は眠気を催した。
しかし終盤の展開は、惹かれるものがあった。真っ先にスピルバーグの『ミュンヘン』を思い出した。あと、Netflixの『ミュンヘン 戦火燃ゆる前に』も。
同じ暗殺でもシチュエーションは本作とは違うのだけど。ただ、要するに相手が誰であっても〝人間の命の重さ〟というのは変わらないのでないかと気づいたのだ(とはいえ、安楽死の話になるとまた変わってくるかもしれないが)。
ジェシーが死後の世界について語るシーンがある。「あの世を覗いた者は死を恐れなくなる」と。そこはスピリチュアル的に正しいのだが、同時に悪行も正されるから犯罪者が言うのは矛盾しているのでは? と思う。
[オリジナル音声+日本語字幕]2023/01/06 NHK BSプレミアム