映画大好きザウルスくん

ドルフ・ラングレン ザ・リベンジャーの映画大好きザウルスくんのレビュー・感想・評価

2.6
ドルフ・ラングレン監督作品第5弾!プロの殺し屋であるドルフは組織からの追放処分を喰らい家族諸共命を狙われることになる…。ドルフ監督作としては初の家族モノであり、これまで以上に力の入ったバイオレンス描写も特徴的な本作ですが、家族が登場するためにこれまでは勢いで誤魔化せていた無理なストーリー展開が誤魔化しきれなくなっている上に、前作『レッド・コマンダー』に引き続きアクションシーンの躍動感を下げる演出(具体的に言えばブレブレカメラ+スロー+止め絵)が気になってしまい、個人的にはこれまでの監督作の中で1番キツい作品だった気がします🤦‍♂️💦

エレベーターから潜入し任務をこなす暗殺シーンや家に襲い来る殺し屋を筋トレ器具に突き刺して返り討ちにするシーン、当然スタントマンは使っているもののエレベーターを転がりながらの格闘シーンなど、アクションのバリエーションとしては悪くなかったのですが、先ほど指摘した謎の編集が施されているため気持ちよく楽しむことはできず、ストーリーに関してはそもそも殺し屋が家庭を持つなよと思うし、離婚した元嫁とその間にできた子の3人の暮らしを取り戻したい気持ちは分かるけどだからと言って運良くお互いの新しい恋人だけが襲撃の被害を受けて殺害される辺り、さらには元夫が殺し屋だと判明し命からがら逃れている最中なのにモーテルでのんびりセックスし始める元嫁など、全体的に「いい気なもんだな」感が強すぎてとても主人公を本気で応援したいとは思えませんでした。

監督作として考えるとデビュー作から3作目までは何かと作家性のクセを感じられて楽しかったものの、前作『レッド・コマンダー』や本作に関しては他の監督でも撮れそうなクセ弱めの標準的作品を目指しているように感じられて、「それならドルフがわざわざ監督しなくてもいいじゃん…」と思ったのが正直なところです。3作目の『バトル・ライダー』のような低予算だからこそ拘りの部分がある程度明確になるような作品の方がドルフには合っていたかなぁ…。一応オープニング曲がロックなのは前作でバンドマンを演じた名残だと思うし、流血シーンで手を抜いてこなかったからこそ発展型として今回は口が裂けたり腸が飛び出たりするようなグロ描写に挑戦しているという意図は分かるのですが。

不本意ながら今回は辛辣な言葉が多くなってしまいました…。ちなみに本作の撮影後『エクスペンダブルズ』で本格的な再浮上を遂げたドルフは監督業から10年以上離れることになります。ドルフが監督業にチャレンジしていた2005年から2010年までの期間は筋肉アクション俳優にとって1番の冬の時代であり、この時期に腐らず試行錯誤して自分の映画人としての可能性と向き合い続けたドルフだからこそ『エクスペンダブルズ』で一切衰えのない素晴らしい演技を見せることができたのだと思います。どれも完璧な作品とは言い難いですし話題に上がることも少ないですが、ドルフがこの期間に世に放った監督作の数々を僕は決して忘れません🥺✨