イルーナ

月のキャット・ウーマンのイルーナのレビュー・感想・評価

月のキャット・ウーマン(1953年製作の映画)
1.7
アポロ11号が初めて月面着陸するより16年前。月はまったく未知の領域だった。
そこには、キャットウーマンの文明があった……

B級古典SF映画ではかなり有名らしく、かのジョン・ランディスやジョー・ダンテらが共同で監督したパロディ映画『アメリカン・パロディ・シアター』のタイトル(原題:AMAZON WOMEN ON THE MOON)の元ネタになっているほど。
そして50年代のB級SFと言うとどうしても比べてしまうのが、かの最低映画『プラン9・フロム・アウター・スペース』。
はたして、最低同士の対決やいかに?

月を目指して飛び立ったロケット。しかしその内部はどう見ても事務所レベル!
途中、隕石衝突により原子炉が故障。放射能漏れの危機に。で、それにどう対処したのかと言うと……
何と、ただの消火器!アメリカはこの当時から放射能への意識の薄さが変わってない!
初っ端からこんな調子なので、否が応でも期待感は高まります。
月に到着した後も、タバコを持って歩くばかりか、酸素があると分かっただけで宇宙服を脱ぎだす一行。
いや、いくら酸素があるからって、他にも大気中にヤバい成分が含まれてるのかもしれないのに……
そこに現れる、人形以外の何物でもない巨大グモ!人形相手に叫んだり取っ組み合ったりしてるのが微笑ましい。
このように、前半だけでも相当ヤバいシロモノだということが伺えます。
が、どう見ても糸で釣ったホイールキャップにしか見えない上に、内部は机の上に何か適当に機械を置いただけの殺風景さで「宇宙船でござい」をやってのけた『プラン9』よりはまだ全然見れるレベル。
本作より数年後でこれというのが余計にヒドい。こっちのほうが予算があったんだな……

後半は満を持してキャットウーマンご一行が登場。
ようやく盛り上がって来るかなーと思っていたら、ただ平坦な撮り方にダラダラやり取りしてるだけで全然盛り上がらない。
しかもその内容が痴話ゲンカというスケールの小ささ。わざわざ月まで行って何やってるんですか……
ジャングルの奥地に暮らす部族とかに置き換えても全然成立するじゃん。
おまけに何の脈絡もなく挿入されるキャットウーマンたちの謎ダンス。『死霊の盆踊り』の先駆けかな?
こういう所もエド・ウッドっぽい。
でもまあ、こちらのキャットウーマンは一応地球侵略するつもりだったらしいけど、まだ話が成り立っていたからなぁ。
プラン9星人はもうやる事なす事チグハグだわ会話は成り立たないわで散々だった。そういう意味では流石だぜエド・ウッド!
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