BON

ラスト・ホリデイのBONのレビュー・感想・評価

ラスト・ホリデイ(1996年製作の映画)
3.8
同年の東京国際映画祭ヤングシネマ96でゴールド賞受賞、翌年のロッテルダム国際映画祭でタイガーアワード受賞。

1979年、アルマ・アタのメーデー。まだソ連の一構成共和国だった頃のカザフ・ソビエト社会主義共和国を舞台に、ステレオタイプな3人の非行少年たちの姿を描いた青春映画。

春休みにウォッカを飲み、マリファナを吸い、地元のバーのディスコライトやベースギター、おやつまで奪い、殺人、警察の残虐行為による死、刑務所などを経て招いていく悲劇の物語。マリファナを若者みんなで回しながら吸うシーンはどの国でも共通なんだな。

プロローグの赤一色の派手なメーデー祝賀パレードと、エピローグのパレードのための行進練習パートに挟まれて青年たちの物語が進行していき、カラクーロフが崩壊直前のソ連へ強烈な批判と皮肉を込めていると感じた。

中央アジアで各国の文化が交じり合ったカザフスタンは美女が多いと一般的に言われていますが、もれなく男の子の登場人物達も美形が多かった。

悲劇的なラストを迎えるものの、カラクーロフは10代の若者たちからドキュメンタリーのような等身大の演技を引き出し、当時の国民がソ連に鬱憤していた気持ちの現れが分かる苦く輝く作品だった。
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