ジミーT

アメリカン・グラフィティ2のジミーTのレビュー・感想・評価

5.0
この映画は全体に青空と明るい陽光のイメージがあります。「コルベット・サマー」や「ビッグ・ウェンズデー」、後年の「ファンダンゴ」などのような感触というか。
ただ、一方でそれらの映画とは異なる残酷な一面を持った映画でもあります。

学習塾の宣伝文句みたいな言い方をすれば、「未来は自分で切り拓く」「未来は変えられる」のかもしれません。
しかしこの映画の登場人物は前作「アメリカン・グラフィティ」の登場人物のその後です。そしてその登場人物たちの未来は前作のラストで字幕の形で決められてしまっておりました。

そう、この映画では「未来は自分では切り拓けない」「未来は変えられない」のです。従ってこの映画はその決められた未来へ向かう途中の物語にならざるを得ない。残酷な映画なんです。しかもその決められた未来が必ずしも明るいものではないのでよけいに残酷であり、青空と明るい陽光のイメージもいっそ哀しい。その哀しい明るさにスコア5.0。

もし「アメリカン・グラフィティ3」が出来ていたら「2」のラストから決められた未来までの映画になっていたはず。
さらに「4」が出来ていたら「3」のラストから決められた未来までの映画、さらに「5」「6」・・・と続いていったら。それは「放たれた矢は止まっている」「アキレスは亀に追いつけない」みたいな特異なシリーズになっていたでしょう。それはそれで見てみたかったのですが「2」がそれほどヒットしなかったからなのか、そうはなりませんでした。残念。
せめて「3」まで作ってロン・ハワードに監督させたかったなあ。

追伸
「あらかじめ決められた未来」に向かうシリーズというとかつての「猿の惑星」シリーズが思い浮かびますが、あれはSFゆえに、決められたはずの未来は変わってゆきましたね。
「変えられない未来への続編」というなら、むしろ「新・明日に向って撃て!」かな。
ジミーT

ジミーT