このレビューはネタバレを含みます
美しい情景と、失踪した息子を思うマリアの心象を象徴的に映像化していて、作品世界に引き込まれる。
物語自体は淡々としているので進行しているのか留まっているのか判然としない。だけど、もちろん粛々と進んでいる。
クライマックスで息子を見つけた後、マリアがコソコソしてるのに違和感があったんだけど、なるほどそういうことかとちゃんとした理由が用意されている。
冒頭の事故シーンで居なくなった別の子供を、我が子として連れていたのだ。
そして本当の我が子はあの時の検視で…。
それらの展開は可能性のひとつとして思い浮かべられるもので、特別意表を突く展開ではない。
でも、子供を連れ去った女から奪い返したカタルシスで不覚にもすっかり霧消していた。
スペイン映画全般に言えることだけど、行動は必然的でアクシデントには必ず布石が置いてある。
それだけ物語がしっかりとしているといえる。
ところでこの邦題とパッケージはあの映画のパクリだね。
そういうセンスはホント勘弁してほしい。