半兵衛

恐怖の火あぶりの半兵衛のレビュー・感想・評価

恐怖の火あぶり(1979年製作の映画)
3.5
『サイコ』のようで実は『CURE』だったという連続殺人犯のお話、冒頭の事故を放置する様子から精神を病んでいることが一発で理解できる演出で心を掴まれそのあとの母親死亡から束縛してきた存在がこの世からいなくなり母の教育により植えつけられた歪んだ女性愛とトラウマになった母親の火でのお仕置き(本当に子役を火に近づけているようにしか見えないのが怖い)が女性に火をつけて焼死させる行為へと結び付くスピーディーな語り口が素晴らしい。

いかにも奥手そうだけどストッパーが無くなり女性を殺してその魂を救う行為に取りつかれた主人公と演じる役者のイメージがぴったり、でもその割りには家の装飾や服装にはセンスがあるので女性が親しげにしてしまうのも納得。

頭の中で流れる電波の赴くまま人を殺してきた主人公がどんどん壊れていくストーリーは気持ち悪い(褒め言葉)し、そんな彼がいつしか日常も壊れて最後には自らも火を浴びることになる結末が完璧。

全体的に低予算でチープな造りではあるけれど、ノンストップなストーリーには感心したし先に書いた通り演出も工夫されているしなかでも焼死体の『偽れる装い』を彷彿とさせる使い方や唐突なゾンビ出現には唸らされた。

ラストはまさに『CURE』だけれど、「母親が暴力を振るうと子供はこうなるよ」というちょっとした教育映画のテイストも。
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