Kota

なんだかおかしな物語/ボクの人生を変えた5日間のKotaのレビュー・感想・評価

3.7
“自殺したくて橋に行く代わりに、ここにいたんだ。”

16歳で自殺願望を持つグレイヴ(キーア・ギルクリスト)は自ら精神病棟へ入院する事を決めるが、そこは変人の集まり。すぐに抜け出そうとするも、5日間は最低入院しなくてはならない。しかし、グレイヴはその5日間で生きる意味を見出してゆく。

更生施設物は小さな空間の小さな人間関係の中で大きくて大切な事が見えるのが醍醐味。社会のしがらみや親の期待に囚われて忘れてしまった、生きるということの意味をもう一度教えてくれる。キーア・ギルクリストが絶妙にダサくて、気取らないエマ・ロバーツもメンヘラっぽくて、その“外れ者“の雰囲気が良かった。頭の中のイメージがそのままカット割りになって入ってくるシーンも独特で面白い。

「走る、食べる、飲む、話す、電車に乗る、読む、書く、父さんに歯向かう、母さんにハグする、妹にキスする、父さんにもキスする、彼女をピクニックに誘う、映画にも行く、走る、旅する、泳ぐ、スキップをする、息をする、生きる。」

最後のこの長いセリフと、コマ撮りのショットがすごく好き。結局なぜ皆が精神病棟にいるか、そしてその後どうなったのかは明かされないけど、そこも含めて温かい気持ちになるいい映画だった。
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