TaiRa

湖のランスロのTaiRaのレビュー・感想・評価

湖のランスロ(1974年製作の映画)
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ブレッソンによるスプラッター時代劇。森を駆け抜ける馬の疾走よ。

アーサー王伝説とか聖杯とかどうでも良くて、オタサーの姫に掻き乱される男集団の自滅と内ゲバを血みどろゴア描写で見せる異様な映画。この題材扱うのにドロドロ不倫劇に焦点当てたブレッソンの下世話さを買いたい。冒頭から騎士たちの血みどろな殺し合いを見せるのも最高だし、だからといってスペクタクルな場面は全然見せないでほとんど省略しちゃうミニマルさもある。一方で歩いて建物へ入っていく人物をずっと撮ってたりする無駄な贅沢さもあり、その上でカチャカチャと鳴る甲冑の音響を現代音楽みたいなノリで聴かせ続けるという意味不明さもあって素晴らしい。聖杯伝説のバカバカしさを皮肉った感じがそもそもあって、やってることは『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』と近いのでは(あっちが後だけど)。四肢を切り落とされても死なない騎士とかのスプラッターギャグとかもはや同じノリでしょ。戦いに向かう準備から一気にその結果へ飛ばす構成とかカッコイイし、虚しさも増す。ラストのランスロの倒れ方、見上げた空を飛ぶ鳥、絶命、という一連が最高にクール。
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