ハマジン

湖のランスロのハマジンのレビュー・感想・評価

湖のランスロ(1974年製作の映画)
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DVDで鑑賞後、冒頭の戦闘描写だけしばらくリピートしまくった。最高。殺戮の跡を残しながら騎士団が画面左から右へと馬を駆るショットの反復が、乗り手を失った一頭の馬がモルドレッド卿の反乱の惨状が広がる森の中を右から左へ駆け抜ける終盤のショットとシンメトリーを成す、構成の堅固さ。
画面外から聞こえる足音が「死」のしるしであることを映画序盤で示すことで、映像より先に音から入る場面転換が異様に不吉な意味を帯びる。「ポスプロで作り込まれた音」という技術的方法論が、物語における死の量産とランスロの悲劇的宿命にまで滲み出す、映画にしかできない達成を見ることができた。
ブレッソンの映画に出てくる動物たちの鳴き声の禍々しさに、改めて戦慄する。馬の嘶きや、ランスロとグィネヴィアの逢瀬の場面で、窓の外の木の枝にとまりギィィィ…と神経を逆撫でする耳障りな音を立てる鳥の鳴き声など。
突然の嵐に、天幕を張るためのロープを固定する杭を慌てて打ちつける従者たちのシルエットをとらえたショットが個人的にとても好き。
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