モリアーチー

妖怪巨大女のモリアーチーのレビュー・感想・評価

妖怪巨大女(1958年製作の映画)
2.5
『妖怪巨大女』ってタイトルがまるで往年の大蔵映画のようですが、1958年のアメリカ映画です。メジャーではなくインディーズなので超低予算のB級SFパニック映画です。

監督がネイサン・ハーツという聞いたことのない名前なのですが、調べるとメジャーで監督しているネイサン・ジュランの別名とのこと。ジュランと言えばハリー・ハウゼンの特撮映画『地球へ2千万マイル』や『シンバッド七回目の航海』、『H.G.ウェルズのS.F.月世界探険』といったメジャーの楽しい映画を監督していますが、並行して『遊星から来た脳生物』や多くのウエスタンも手がけているので職人監督と言って良いでしょう。

脚本を手がけたマーク・ハンナは前年アメリカ公開の巨人ものSF『戦慄!プルトニウム人間』をMr.BIGことバート・I・ゴードン監督と共に作り上げています。二匹目のドジョウを目論んで次は巨大女にしようと考えたのかどうかわかりませんが、『戦慄!プルトニウム人間』の続編『巨人獣』には参加せずにこちらに参加しています。

アリソン・ヘイズ演じる資産家のナンシーはかなりのアルコール依存症なのですが、別居中の夫ハリーが愛人ハニーといちゃついているのを見てヤケになって車を飛ばします。そこに『戦慄!プルトニウム人間』を強烈に意識した禿頭の巨人が登場します。風船型UFOに乗ってやってきた宇宙人という設定です。

この巨大宇宙人がナンシーに目をつけたのはインドの星とか呼ばれる巨大ダイヤをナンシーが付けていたからです。ダイヤがUFOの動力源だったのです。

ナンシーはハリーをいまだに愛しているのですが、巨大宇宙人との遭遇を信じてもらえず、ますますアルコールに依存します。ナンシー、ハリーとハニーの三角関係を延々と描きつつ、最後の10分でナンシーの身に起こった脅威の変化と悲劇が語られます。

特撮は頑張っていますが自主映画でももっと上手だろうというレベルです。巨人は二重露光、車を持ち上げるカットなどは書き割りですから背景ごと動いて、それはそれで驚きます。

この映画をこよなく愛する人達は多くいるようで、ダリル・ハンナ主演版等リメイクも何度かされています。ティム・バートンも2024年2月現在でリメイクを進めているようですので楽しみです。
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