ジョン

ショーン・オブ・ザ・デッドのジョンのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

コメディ映画としてもゾンビ映画としても最高の傑作です。

往年のゾンビ映画のテンプレートをきっちり踏襲しつつ、序盤の冴えない日常パート全部を伏線に使う卓越したジョークセンスはまさにイギリスコメディ映画の十八番。これらが巧みに合わさった結果、「笑えるゾンビ映画」として最高のクオリティに仕上がっています。

物語は主人公の冴えない電気屋店員ショーンとニート手前の悪友エドを中心に、元カノのリズとルームメイトたち、ショーンの母を巻き込んだ大騒動に発展していきます。
規模だけで言えば家からパブに逃げ、最後には脱出する……というだけのコンパクトな映画ですが、これがショーンの小市民的冴えなさとマッチして絶妙な味を生み出しています。
また、武器もレコードにクリケットのラケット、椅子や遊具などよくあるアメリカゾンビ映画以上に「その辺にある物」感が強く、本当にごくごく普通の市民達が必死こいて逃げ出しているリアルさ、シュールさはゾンビ映画としてもコメディ映画としてもポイントの高い点です。

ちょくちょく挿入されるBGM芸も巧みで、特に「勝手にかかった」というQueenの「Don't stop me now」に合わせてキューや消火器を叩きつけるシーンなどは声を挙げて笑ってしまうほど。
しかも序盤のシーンでジュークボックスが故障して勝手に鳴る事がある、という伏線をしっかり張ってあるのが実に小粋です。

総じて、史上最高のゾンビコメディである事は疑いの余地の無い傑作です。


余談ですが、もし本作を観て面白いと思った方は、フォロワー作品の中でも特に面白い「ロンドンゾンビ紀行」もオススメです。
ジョン

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