horahuki

マルチプル・マニアックスのhorahukiのレビュー・感想・評価

マルチプル・マニアックス(1970年製作の映画)
3.7
その他大勢の美

見れば必ず気分が悪くなると言う触れ込みの「低俗変態ショウ(無料)」で客を呼び込んでは持ち物を強奪する極悪集団が内ゲバで崩壊するお話。ちなみにショウもしっかりやってて、脇の匂い嗅いだり、ゲロ食べたり、ヘロイン中毒者vsヘロインの耐久戦やったりと確かに気分が悪くなりそうなキモさ…😱

初ジョンウォーターズ。もう4年くらい積んでたやつ…😅低俗変態ショウの中で同性愛者同士の濃厚キスが他のガチヤバなやつと並列されてるところからしてもうヤバイ!見にきてる観客たちも「病院連れてくべき」とか言ってるし😱これはVHS止まりになるのも納得!🤣

そんなショウが無料なもんだから中産階級的な人たちがどんどん寄ってくる→「もっとヤバイのあるよ」の声に釣られて奥へ→全員の荷物強奪という「タダより高いものは無い」を地でいく悪徳手法が堪んない!実際アウトサイダーなりマイノリティなりをバカにして、好奇心のもとに消費しているのは自分を「まとも」だと自負している客たちだってところが真っ当!

そんな感じで表現がぶっ飛び過ぎてはいるけれど、社会的に「まとも」な人たちによって恣意的に設定された見せかけだけの「自由」に対して、その自由の範疇に入らせてもらえない・社会的に許容されない人々が性的に反抗しまくる姿を通して、ブラックコメディ的に世相を皮肉ること一辺倒で最後まで押し切る!そう思うとマカヴェイエフと近いようにも思えてくる。

最近のマイノリティ側に視点を移しただけの綺麗事に雁字搦めにされた映画たちとは違い、『フリークス』的に等しく悪だとする公平さを保ちつつも、寓意を込めるアイテムなり挙動なりとして許容される表現の臨界点を易々と飛び越え、どこまでもアウトサイダーを貫く姿勢が清々しい!中盤あたりはバランス感覚のズレからか子どもの悪ふざけ的な印象が強くて眠くなったけど、ロブスター前後からのクライマックスは凄まじかった!!

というか、ロブスターに強姦されるっていう発想だけならまだしも、それを演出として取り入れちゃうとかどうかし過ぎててサイコーすぎる🤣
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