takato

緋色の街/スカーレット・ストリートのtakatoのレビュー・感想・評価

4.1
 話には聞いていたが、なかなか見れないラング作品をアマプラで見れるようになるとは世の中良いこともある。


 「M」のような大傑作じゃないが、ノワールの様式を見事に物にしている傑作であることは間違いなし。基本的にはファム・ファタールに出会った平凡な男の崩壊という点では多く見られるものだが、キャラの描き込みの見事さ、もつれにもつれていく運命の数奇さ、そして皮肉な結末、裁かれないことでより深い地獄に堕ちる主人公という点で様式に沿っているからこそ特異な才能が光る。


 終盤が少々冗長になっちゃって、台詞で語り過ぎな面を少し感じてしまって、もっと突っぱねてスパッと切っちゃった方がより怖かった気もするが…。ラストも今まで映っていた人も音楽もフッと消えてしまって、去っていく主人公の後ろ姿の方が良かったかな。


 それにしても個人的な趣味でしかないが、ノワールのファム・ファタールってそんなに魅力を感じないんよね。これがもっと本当にこっちの魂を奪いに来てるくらい魅力を感じさせられたら存在を出せたら、今でも映画はともかく創作物に使えるテーマかも。


 それにしても、ラングの初期作品は名望は高い癖に容易に見れないの辛い。「ドクトル・マブゼ」シリーズ、「スピオーネ」といった作品はプレミアついてるやつを買うか、海外版を買うしかないんじゃないかなぁ…。せめて新たにソフト化しないかなぁ〜。
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