糸くず

緋色の街/スカーレット・ストリートの糸くずのレビュー・感想・評価

5.0
「重い罪を犯した者は、たとえどんなことがあっても、罪から逃れることはできない」という苛烈な人間観に打ちのめされる、フィルムノワールの傑作。

エプロンを着て食器を片付けるエドワード・G・ロビンソンと、汚れた食器でいっぱいのシンクに煙草を投げ込むジョーン・ベネット。

絶対にうまくいくはずがないのに、平凡な日々へのちょっとした不満から若い女性を追いかける中年男性。

男に甘さを見せないで徹底的に追い詰めていく脚本も素晴らしいが、フリッツ・ラングの演出も圧巻。

ホテルの部屋でのネオンの明滅、幻聴、繰り返されるレコード。罪深き者は死ぬことさえ許されない。命を助けられ、全てを諦めたかのようにフッと笑うエドワード・G・ロビンソンの顔が忘れ難い。

〈フリッツ・ラング監督特集〉
糸くず

糸くず