悪魔の毒々クチビル

カニバル・カンフー/燃えよ!食人拳の悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

3.3
大泥棒ローレックスを追って、とある片田舎までやってきた捜査官999。
しかしここは、村人達がやって来る旅行者を片っ端から殺して食料にしてしまう恐ろしい村だった。


カンフー×食人族という組み合わせなのでぶっ飛んだ内容を期待していましたが、かなりシンプルなカンフー映画でした。
食人シーンは調理されたものを食べる場面のみ。
解体シーンはいくつかあって、手を切り落としたり身体を真っ二つに切り取ったりと、ちょいちょいゴアってはいるもののそこまでキツい描写にはなっておらず残念でした。
しかし映画全体の作風を考えるとこれが丁度良いバランスなのかも。

というのも本作は先述した通り、結構王道なアジアンカンフー映画として仕上がっています。
帽子を被った姿がどことなく綾野剛に似ている999が、襲ってくる村の保安隊長率いる舞台相手にカンフーでボコスカ薙ぎ倒していく。
終盤の隊長との闘いとか、いくつか間延びが目立つ出来でしたがまぁまぁ見応えがありました。

そしてこの手の映画にお馴染みの身体を張ったギャグシーンも健在で、普通に笑えたやつも地味にありました。

キャラも良かったですね。
冒頭、ホラー映画でよくあるモブキャラが襲われるシーンなんかもこのジャンルのおかけで、モブのくせに無駄にキレのある動きでホイホイと襲い掛かってくるナタを次々避けていくモブおじさん。まぁ結局はやられちゃうけど。
999と一緒に村にやってきた如何にも怪しいおっさんは案の定泥棒で、999から金目のモノを奪って逃げるも逃げた場所が場所なので最終的には999や良心的な村の少年と協力して隊長らと闘うという、ベタな展開も良し。
この泥棒おじさんと少年、敵の舞台を撹乱させる為に何故かローラースケートを履いて逃げ回るんだけど、中々面白かったです。

村を牛耳る隊長はとにかく残虐非道、かと思いきや「隊長になってから友達が一人も出来なくて寂しいんだよ!!」と完全にコメディ向けな可哀想な一面も見せていて、これはこれで印象的ではありましたかね。うん。

他にも初登場シーンから精神的にヤバそうな雰囲気がありまくりで、案の定ラストでホラーな締めくくりをしてくれたヒロインとか、異常に男好きな大女とか変なキャラが多かったです。
泥棒おじさんがこの大女に犯されそうになった時咄嗟に「お、俺病気持ちだから!」と言って逃れようとするも、「あら、ワタシもよ」と最悪な返しをされていて超怖かったよね。
そう言えば「プロジェクトA」とかに出てた人もいたような。

正直期待していたものとは全然違っていてガッカリしたんですけど、これはこれでそこそこ面白かったからまぁ良いや。

俺はアジア映画って詳しくないけど、本作の監督ツイ・ハークは後に様々な大作映画を手掛けるようになっていきジャッキー・チェンやジェット・リー、さらにはヴァンダム主演の映画まで撮っちゃうようになったんだから凄いですねぇ。