櫻イミト

恐怖のロンドン塔の櫻イミトのレビュー・感想・評価

恐怖のロンドン塔(1962年製作の映画)
3.0
B級映画の帝王ロジャー・コーマン監督によるゴシック・ホラー史劇。シェイクスピアの戯曲『リチャード三世』で有名な史実の映画化。1939年版「恐怖のロンドン塔」をリメイクしたモノクロ作品。

かねてから王位略奪の野望を抱くグロスター公リチャード(ヴィンセント・プライス)は、王である実兄エドワードに死が迫っているのを知り、次なる王位継承権を持つ次兄クラレンスを殺害する。そして王の死後、跡継ぎである二人の王子をロンドン塔に幽閉。王位継承の邪魔者となる自らの血筋を次々と手にかけていくが。。。

メリハリが弱かった旧作に比べ、本作は殺害や拷問シーンを組み込み、殺された者たちが幽霊となって現れるなどホラーなエンターテイメント性が高められていた。ロンドン塔内の美術、撮影もゴシックムードがたっぷりで好み。ただ、シナリオ的には主人公が邪魔者を一人一人排除していくことの繰り返しになってしまい中盤あたりは単調に感じてしまった。

それにしても、外連味あるシーンを次々と繰り出し決めどころではしっかりと見映えの良いカットを入れてくるところに、低予算でもヒットを飛ばしたコーマン監督の演出力を感じることが出来た。

※1939年版ではヴィンセント・プライスが次兄クラレンス役を演じた

※終盤のボズワースの戦いは1939年版のフィルムを流用。さすがは低予算映画の帝王ロジャー・コーマン!
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