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スクール・デイズのmumbleboyのレビュー・感想・評価

スクール・デイズ(1988年製作の映画)
3.9
「ナイト・オン・ザ・プラネット」を観て今まで見たことなかったジャンカルロ・エスポジートを見たら彼の出演してる観てなかった今作を観たい思いました。今作は予告編はスパイク・リー関連の何かで部分的にちょっとだけ観たことがあってすごく楽しそうというイメージを抱いてました。

何というかレプレゼンテーションですね。Hip Hop用語でいうとレペゼン。今作は作品の良し悪しとは別にアメリカ文化的に非常に重要な作品だなと思います。これまでいわゆる歴史的黒人大学という世界に踏み込んだ映画はなかったと思いますし更にそこでフラタニティという特殊な組織にいる大学生や正反対の社会派の大学生との対立という非常に特殊な題材を扱った映画は今作以外に存在していないのではと思います。これはスパイク・リー監督自身の体験をベースにした作品でそれまで黒人文化で紹介されることなかった世界を描いた貴重な作品なのかなと思います。自分は歴史的黒人大学に訪れたことはないですが自分が行ってた大学にもフラタニティは存在していて、そして自分の兄はフラタニティのメンバーでもあります。フラタニティって本当に異質な組織で宗教団体ではないけど、今の時代にこれってありなんですかっていう様なことを行っていたりします。何故人はフラタニティに入りたがるかというと目前の理由は大学生活においてフラタニティに入ることで一種のステータスを得て異性との出会いにもより恵まれたり(フラタニティには全く同性愛者がいないという訳ではないですがほとんどが異性愛者だと思います)ということがありますがその先には社会進出したさいにフラタニティのつながりが役立つということもあるみたいです。歴代大統領や大企業の経営者がほぼフラタニティに所属していたり一種アメリカにおける権力者が言わずもがな通る道なのかなと思います。今作の歴史的黒人大学のフラタニティに属することがどれだけ黒人社会にて意味を持つのかはわかりませんが個人的にはフラタニティもソロリティも悪しき存在として廃止されてもいいのではと思っています。とは言え自分も大学時代にはフラタニティが毎週末に行うパーティーに行って馬鹿騒ぎしてみたり恩恵にあずかってはいました。フラタニティがなくなってもアメリカのバカ・パーティー文化は消えることは全くないと思うのでそこは心配してないです。

作品自体にあまり触れてませんでしたが批評としては音楽のパートがちょっと長く感じました。スパイク・リー自身が作品中の音楽に思い入れがあってそうでない視聴者に観やすくバッサリ編集することができなかったのかなと思いました。作品の流れもストーリー展開がどうこうというより学生たちの密着ドキュメント的な感じでエンディングは言いたいことわかるけどそれを言葉でダイレクトに言わないでも感じさせられたらモ・ベターだったかなと思います。「ナイト・オン・ザ・プラネット」では意外と普通黒人お兄ちゃんだったジャンカルロ・エスポジートはここではやはりお堅い変人でした。あのダサい髪型、マルクス兄弟のグルーチョさん意識してんのかって思ってしまいました。ストーリー重視というよりカルチャー目線で観るとより楽しめる作品なのかも知れません。
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