リュートン・ホラーと呼ばれる作品を3作立て続けに観たけど、その中では一番面白かった(有名な『キャットピープル』は未見)。
映画ではあまり見かけない時代の話で、ボリス・カーロフがかつらをつけ外しするのが印象的。
ケチな詩人であるシムズ(ボリス・カーロフ)が管理する精神病院を舞台に起こる意地悪の応酬の話。話はそんなにホラーではない。
経営者であり詩人でありケチであり意地悪という謎のキャラを演じているボリス・カーロフはなかなかハマり役でいい。
『吸血鬼ボボラカ』でも思ったけどマーク・ロブソン監督は構図やライティングの質が高くて、ストーリーはともかく映像的な見どころが多いのでけっこう好みに合う。
精神病棟で部屋に案内されたシーンでカメラが壮大に引いていくところだったり、強いライティングで光と影のコントラストがほぼ2色になるいくつかのシーンだったり、各ショットに工夫が凝らされている。
映像がよければ話もなんだか面白く見えてくるもので、そう強い悪には見えないシムズと、精神病棟に無理やり入れられたボーエンの対決ともいえぬ対決は、不気味に撮られた精神病棟の雰囲気も相まって、ダークな勧善懲悪物語として楽しめた。
なぜか病棟内で患者同士が意味ありげにポーカーをするシーンは、物語上あんまり意味がなかったことも含め面白かった。