半兵衛

ミラノカリブロ9の半兵衛のネタバレレビュー・内容・結末

ミラノカリブロ9(1972年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

何の説明もなくギャングの非情な暴力を容赦なく描く冒頭に心を掴まれ、そこから組織の金を強奪したと疑われる刑務所から出たばかりの主人公のウーゴの監視と暴力による息苦しい生活につながり思わずウーゴに共感するも随所で彼やその周囲の人間が妙な行動をとったり警察も動き回ったりとドラマに緊張感が耐えず存在して目が離せなくなるイタリア流ノワール。

警察のパートが異様に長いので肝心のギャングの駆け引きの緊張感を削いでしまっているきらいはあるが、それでもギャング以上に殺伐とした警察の人たちが交わす会話には当時のイタリアの社会情勢が感じ取れてこれはこれで味わい深い。

当初は義理堅い昔気質のギャングに見えたウーゴの本当の人間性が露出すると同時にドラマの本質が見えてきてそれが最後のどんでん返しに繋がる後半も最高、観客が誰も信用できなくなったところでもたらされるある伏線からのオチも決まっている。そしてそこから単なる小悪党だと思われていたロッコが感情をむき出しにするラストも粋。

マカロニウェスタンでよく見る顔ぶれによる異様に濃いギャングのキャラも楽しい、あとヒロインのバーバラ・ブーシェが単なるお飾りではなく話にしっかりと絡んでいく作りも嬉しい限り。

ロックとストリングスが効いているスコアも段々と癖になってくる。
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