イチロヲ

淫虐地獄のイチロヲのレビュー・感想・評価

淫虐地獄(1971年製作の映画)
4.0
ツアーバスに乗り合わせた7人の男女が、ナチス時代の呪詛が根付いている古城にて、悪魔憑きの美女に遭遇してしまう。「七つの大罪」を題材に取っている、B級イタリアン・ホラー。初期ソフトには「死霊の七人」という愉快な邦題が付いていた。

やっていることは平凡なビックリハウスだが、室内・服飾デザインと劇中音楽がやたらとオシャレなため、ビザールな映像世界を満喫することができる。ヌード女優によるお色気シーンが用意されているところもエライ。

とりわけ、主演女優エリカ・ブランの「役者力」が炸裂しており、美女と鬼女の鮮やかな演じ分けにはめまいを覚えるほど。人間の欲求に訴えかけながら、粛々と殺害行為に勤しんでいく姿が痛快極まりない。

邦題の「淫虐」というワードが刺激的なため、期待が底上げされてしまうが、実際のところ色仕掛け要素は希薄。だが、型破りなB級ホラーが見応え満点であり、日本の「怪猫もの」にも通じる怪談が機能しているため、鑑賞後には充足感に満たされる。
イチロヲ

イチロヲ