uri

縞模様のパジャマの少年のuriのレビュー・感想・評価

縞模様のパジャマの少年(2008年製作の映画)
4.5

— “I told you they were strange.” “Who?”
“The farmers. They wear pajamas. Why do the farmers wear pajamas?” “The thing is, Bruno… those people... Well, you see, they're not really people at all.”
— “Hey, did you smell that horrible smell the other day? Coming from the chimneys. That horrid smell from the chimneys.”


ああBruno自身が”horrible smell”の一部になってしまったのが皮肉すぎる。まさかの結末に息を呑んだ。運悪くその日が処刑の日だったなんて。大人の事情は子供には関係ない。お母さんも子供2人も気の毒。胸が痛い。 ShmuelがBruno側へ行くのではだめだったのか、、と思ったけれど、こうするしかなかったのだろうね。ダークな歴史事実を映画の中だけハッピーエンドに歪曲するなんてだめだ。

Soldiersと”farmers”の壁。裕福な育ちの子供が初めて目にする、全く正反対の世界。Shmuelの放った“I’m a jew”が超パワーワード。

家庭教師からの”jewsは1人残らず悪だ”という洗脳。12歳の姉はナチスの虜に。大人の言葉に疑ってかかる探究心の強いBrunoくんが好きだ。(それが彼の人生を左右してしまうのだが。)

事実を知ってからのBrunoの父親に対する目。今までは僕のお父さんは将軍なんだ!と瞳を輝かせていたのに。一方、皮肉なことにお父さん含めた将軍も被害者といえば被害者なんだよね。実際にキャンプで起きている非人道的なことを100%明るみに出すなんて不可能なんだから。現在のウクライナ侵攻に関わるロシア軍の中にも、心外にも自らが英雄だと信じ込まされ戦地に送り込まれている兵士たちが大勢居るのだろう。



一気に舵を切ったラストはかなり重かったけれど、それ以外は普通に観られる。むしろ私のタイプの雰囲気の映画だった。レトロな雰囲気にどっぷり浸かりながら歴史を学べる。冒頭辺りのパーティーでのJazz音楽が好きだった。Eddy ChristianiとFrans Poptieによる”Rhythm for You”という曲。
uri

uri