レオン

エクスプレス 負けざる男たちのレオンのレビュー・感想・評価

3.9
人物描写に優れて、十分に佳作以上♪
タイトルは日本の配給会社が余分につけたもので、
現題の「THE EXPRESS」は主人公が超特急なみに、
フィールドを走る様を表している。

なによりこの映画で一番すばらしいのは人物描写だ。
出てくる登場人物を、数分見ただけで、
その人間がどんな性格で、今なにを考えてるか、手に取るようにわかる。
(この年見た映画では2005年の「ツォツィ 」も抜群だった。)

それは序章の主人公が少年時代の映像でも、手抜きがない。
主人公は言葉は苦手でも、純真な心を持った少年で、
しかも、いかにも素早しっこそうに見える少年が起用され、
悪がき役の少年までいかにも、性悪そうな少年がうまく演じている。

実はこれが映画で一番大事なのだ。
どんなに、素晴らしい脚本で、どんなにわくわくさせられるような物語でも、登場人物の心が表せてない作品は、ただの叙事詩に過ぎない。
その点この作品は主人公が役にドンピシャで、ロブ・ブラウン
の大きな瞳と純真そうな笑顔はなにもしゃべらなくても、
主人公の性格が分かるくらいで、なお好演が光っている。

そのおじいちゃん役の俳優も、家族も守ってきたアメリカの良心をも、
感じさせるような演技で好感だ。
主人公のチームメイトも仲間役から、敵対役までしっかりキャスティングされていて、
どのシーンも人物そのものが映像の中心になっている。

そしてなんと言っても、デニス・クエイドの熱演。
彼は人のよさそうなパパ役的なイメージだが、この作品では、
ほとんど、怒っているか、怒鳴っているか、難しい顔をしてるかという、
熱血監督を演技過剰にならず、うまく渋く演じている。
私が見たデニス・クエイドでは一番だ!
最後に目から光るものが、雫するシーンも、
我々ような年季の入った映画ファンには、ジーンときた。

2時間を越える作品だが、あっというまで、
見終わったあとには、期待してなかった方は特に、
「思わぬ拾いもの!」と感じるだろう。
見て損ない、オススメ作品です。
レオン

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